大手キャリアのスマホ料金が高くて、なんとなく格安SIMのことが気になっている人も多いと思います。でも、実際に格安SIMに乗り換えることで何か不具合や面倒なことは起きないのでしょうか? そこで今回は、大手キャリアと格安SIMのメリット&デメリットを紹介します。自分にはどちらが適しているのか、乗り換えを検討するときの目安にしてください。
大手キャリアのメリットは?
最初に大手キャリア(MNO)のメリットから紹介します。これは「格安SIMのデメリット」とも言えます。ちなみに、大手キャリアには楽天モバイルも含まれますが、最後発でやや特殊な事情がありますので、ここでは「ドコモ、au、ソフトバンク=大手キャリア」として話を進めます。
■【メリット1】通信品質が高い
まず、大手キャリアのメリットとしては通信品質の高さがあります。いずれも自社通信網を持っているため当然なんですが、通信品質は非常に高いのです。
総務省が定めた「実効速度に関するガイドライン」に基づき各キャリアが発表した計測結果で確認すると、大手キャリアの場合は下りの実効速度で50Mbps~300Mbps程度となっています。
各大手キャリアでは総務省の「実効速度に関するガイドライン」に基づき、実効速度の計測結果を公表しています(表は各大手キャリアの公表値を基に筆者が独自に作成)
格安SIMも大手キャリアの通信網を借りているので「通信品質も同じでは?」と思っている人も多いでしょうが、大手キャリアと同じように通信設備を使えるわけではないので、下りの実効速度は30~100Mbps程度となっているようです(イオンモバイルの公表値の場合)。
もちろん、通常のWebサイトや動画サイトを視聴するときは下り3~5Mbps程度出ていれば問題ないので、さほど気にする必要はありません。大手キャリアと差がつくのは大容量データのダウンロードなどでしょう。ただし、格安SIMのなかには平日のお昼や夕方はアクセスが集中して、急激に速度が落ちることもありますので、これに不満を持つ人も多いようです。
なお、ドコモの「ahamo」、auの「povo2.0」、ソフトバンクの「LINEMO」といった大手キャリアのネット用プランや、auのサブブランド「UQモバイル)」、ソフトバンクのサブブランド「Y!mobile」などは、格安SIMと違って大手キャリア並に通信品質が高いと言われています。
■【メリット2】実店舗でサポートが受けられる
大手キャリアはいずれも日本全国に2,000以上の実店舗を構えており、対面でのサポートが受けられるのも大きなメリットです。
とくに、高齢者やデジタルに疎いシニアなら、ここがもっとも大きなポイントになるでしょう。もちろん、サブブランドのUQモバイルやY!mobileでも実店舗でのサポートが受けられます。
ただし、最近は大手キャリアショップも事前に来店予約が必要だったり、サポート内容によっては手数料と取られることも多く、何でも無料でやってもらえるわけではないことは覚えておきましょう。
これに対し、基本的に格安SIMの多くは実店舗を持たないため、サポートはメールやチャット、電話での対応になります。とはいえ、実際には家電量販店の格安SIMコーナーなら対面での申し込みやサポートが受けられます。
また、イオンモバイルは全国に200店舗以上、HISモバイルは全国100カ所以上、ビックカメラグループの「BIG SIM」は、ビックカメラ・コジマ・ソフマップなど全国200店舗以上で対面申し込みやサポートが受けられます。もし、ネットでの申し込みに不安がある人は、このような格安SIMを利用する手もあります。
■【メリット3】最新のiPhoneを割引価格で購入できる
世界的にはAndroidスマホのシェアが高いのですが、なぜか日本ではiPhoneの人気が非常に高く、スマホのおよそ半数がiPhoneユーザーだと言われています。
最近ではApple StoreでもiPhoneが購入できますが、これは定価での販売で非常に高額です。その点、楽天モバイル含む大手キャリアであれば、最新型のiPhoneを割引価格で購入できるのが大きなメリットと言えるでしょう。
これに対し、格安SIMではそもそもスマホの販売を行っていないことが多く、まして、最新のiPhone(16シリーズ)を購入できるところはありません。
ただし、mineoのように旧型iPhone(13~15/SE 3など)を販売しているところもありますし、IIJmioのように程度のいい中古iPhone(12~13/SE2/SE3など)を格安で買える場合もあります。
このように、最新型にこだわらないのであれば、格安SIMでも型落ちのiPhoneを安価に購入することも可能となっています。
また、格安SIMでもIIJmioやLIBMOなどではAndroidスマホのエントリーモデルを、1円~980円といった激安価格で販売しています。iPhoneでなくていいなら、2万円以下でもそこそこ高性能な機種が購入できますよ。
■【メリット4】高速5Gの無制限プランがある
大手キャリアでは、ドコモの「eximo」、auの「使い放題MAXプラン5G」、ソフトバンク「メリハリ無制限+」といった高速5G回線を使った無制限プランがあります。
たとえば、ドコモのeximoの場合は月3GBを超えると無制限となり月額7,315円ですが、各種割引がすべて適用できれば月額4,928円まで安くなるのです。
auとソフトバンクもほとんど同じようなプランになっており、やはり各種割引を適用できれば月額4,928円で無制限利用できます。
なお、楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」は月20GBを超えると無制限となり、月額3,278円で利用可能です。さらに、最強家族プログラムが適用できると110円引きになり、月額3,168円まで安くなりますよ。
格安SIMのメリットは?
大手キャリアから回線を借りている格安SIM(MVNO)は地域に根ざした会社も多く、総務省の調査では2023年12月末時点でなんと1,890社もあるそうです。
そのため、ここでは全国展開している代表的な格安SIMを中心にメリットを紹介します。もちろんこれは大手キャリアのデメリットとも言えます。なお、ahamo、LINEMO、povo2.0、UQモバイル、Y!mobileなどは格安SIMに含めません。
■【メリット1】月額利用料が安く済む
格安SIMは実店舗を持たず、ムダを排除することで月額利用料を安くしています。これが格安SIM最大のメリットでしょう。
たとえば、電話やメールがメインで、スマホではほとんどWebサイトを見ないということなら「合理的シンプル290プラン」がいいでしょう。データ通信量が月1GBで月額290円という驚くべき安さを実現しています。
さすがに、スマホでWebサイトも見たいということなら、月7GBで月額990円というHISモバイルの「自由自在2.0」がオススメ。povo2.0やLINEMOは月3GBで月額990円ですから、HISモバイルの料金がいかに安いかよく分かると思います。
つい最近、ahamoがデータ通信量を月20GBから月30GBに増量して価格据え置きの月額2,970円で利用できるようになりました。これでもかなり安く感じるでしょうが、格安SIMならさらに安いプランがあります。
たとえば、日本通信「合理的50GBプラン」は、月50GB+5分かけ放題(月70分無料通話に変更可能)で月額2,178円。ahamoより月20GBもデータ通信量が多いのに価格は約800円ほど安くなるんですね。
さすがにここまで安いと不安になりますが、日本通信は格安SIMの草分け的存在であり、実際に筆者も使ってみましたが、何の問題もありませんでした。
ただし、月50GB超のプランがある格安SIMは極端に少なくなっており、月額料金も決して安くありません。というわけで、大手キャリアや楽天モバイル以外ではahamoがオススメになります。月80GBの「大盛り」データオプションを追加すると、月110GBとなり月額4,950円で利用できますよ。
■【メリット2】通話料やかけ放題の料金が安い
大手キャリアの通信料は22円/30秒ですが、これで1時間電話をかけると2,640円もかかるんですね。しかし、格安SIMの場合は11円/30秒のところが多く、通話料が半額になります。なかでも、HISモバイルは9円/30秒とかなり安く通話できます。
また、大手キャリアのかけ放題プランは、ドコモ「eximo」の場合で5分かけ放題が月額880円、完全かけ放題が月額1,980円かかりますが、格安SIMの多くは1回5分かけ放題で500~550円程度、日本通信「合理的シンプル290プラン」なら月額390円で追加できます。
完全かけ放題も格安SIMのほうが安く、HISモバイルは月額1,480円、IIJmioは月額1,400円、mineoならたった月額1,210円で申し込めるんですね。スマホでよく電話をかける人は格安SIMに乗り換えたほうがお得でしょう。
■【メリット3】プランの選択肢が多い
先述したように格安SIMは全国に1,890社もあります。そのため、各社とも大手キャリアにはない非常にユニークなプランを提供しているのです。
たとえば、LinksmateではゲームやSMSのデータ通信をカウントしない「カウントフリーオプション」が月額550円で申し込めます。これにより、データ通信量を通常の1/10にまで圧縮できるので、スマホゲームのヘビーユーザーならスマホ料金がグッと安くなる場合があるんですね。
また、mineoの「マイそく」プランはデータ通信速度を極端に落とすことで無制限プランを格安で提供しています。もし、Webサイトを見るだけなら最大1.5Mbpsの「スタンダード」が月額990円で使い放題になりますよ。ただし、月曜~金曜の12時台は最大32kbpsになりますので、スマホの使い方には少し注意が必要になります。
なお、格安SIMではドコモ回線を利用しているところがほとんどなのですが、なかにはauやソフトバンク回線を提供しているところもあります。たとえば、NUROモバイルやmineoなどはドコモ、au、ソフトバンクのトリプルキャリアから好きな回線を選択できますよ。
しかも、mineoなら変更事務手数料やSIMカード発行(eSIMプロファイル発行)手数料がかかるものの、回線を自由に変更することも可能です。もし、利用中の回線が遅いと感じたら他のキャリアに変更するなんてこともできるんですね。これは格安SIMならではのユニークな特徴でしょう。
いかがでしょうか? 今回は大手キャリアと格安SIMのメリット&デメリットを紹介しました。あまりWebサイトを見ないので、とにかくスマホの料金を安くしたいという人なら、格安SIMのほうが断然安く済みます。
逆に、高速5G回線で無制限に動画サイトを見たいといったユーザーには大手キャリアしか選択肢がありません。回線に不安がない人なら、楽天モバイルがもっとも安く利用できますね。
また、以前は大手キャリアの店舗でのサポートが大きなポイントになっていましたが、現在は事前予約が必要なうえに、サポート内容によっては事務手数料を取られるので、むしろ、イオンモバイルやHISモバイルといった店舗のある格安SIMのほうが、使いやすいかもしれません。アナタは大手キャリア・格安SIMのどちら派ですか?
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