楽天市場を運営する楽天グループは7月15日、新たにユーザーごとに検索結果を最適化する「パーソナライズド検索」機能の提供を開始しました。この新機能は、利用者一人ひとりの好みに合わせて検索結果をカスタマイズすることで、より効率的に目的の商品へたどり着けるよう設計されています。
従来の検索では、同じキーワードを入力すれば誰に対しても同じ結果が表示されていました。しかしパーソナライズド検索の導入により、たとえば「スニーカー」と検索した場合でも、アウトドア好きのユーザーには登山靴が、ファッション重視のユーザーにはトレンドアイテムが優先表示されるなど、検索体験が個別化されます。
ユーザーの行動や嗜好を分析し、最適な商品を提案
このパーソナライズド検索では、検索履歴、購買履歴、性別や年齢などの属性情報、さらには好みのブランドや価格帯といった複数の要素を統合的に分析。これらのデータをもとに、個々のユーザーに最適化された検索結果を自動生成します。
現在、この機能は楽天市場のパソコン版、スマートフォンのWebサイト、アプリでの全商品検索に対応しており、将来的には店舗ごとのページにある「店舗内検索」にも展開される予定です。
ユーザーにとっては、検索の手間を減らしつつ精度の高い商品提案を受けられるため、利便性が向上。これにより満足度や購入率（CVR）の向上が見込まれ、結果として楽天市場全体の売上増加にも寄与すると期待されています。
AIを活用した「セマンティック検索」との相乗効果
楽天グループは2024年1月、AIによって検索意図を読み取る「セマンティック検索」を楽天市場に導入し、継続的に改良を加えてきました。これは単語の一致だけに依存せず、検索文の意味や文脈をAIが理解することで、より関連性の高い商品を表示する仕組みです。
たとえば、「疲れにくいスニーカーが欲しい」と検索すれば、文脈から「長時間歩いても疲れにくい靴」を求めているとAIが判断し、「ウォーキング向けスニーカー」などの適切な商品が表示されます。こうした直感的で高度な検索体験が、多くのユーザーから好評を得ています。
このセマンティック検索の導入以降もモデル改善が続けられ、2025年1月〜3月期には検索経由の流通総額が前年同期比10.7％増という成果を記録しました。これは、ユーザーがより的確に欲しい商品にたどり着けるようになったことの証左といえるでしょう。
検索アーキテクチャの進化がEC体験を変える
今回のパーソナライズド検索の導入は、楽天グループが進めている検索アーキテクチャの全体的な刷新の一部です。技術基盤を強化し、より柔軟で高精度な検索体験を提供することで、ECサイトとしての競争力をさらに高めようとしています。
EC支援に詳しいコンサルタントは、「パーソナライズド検索」の意義について次のように語っています。
「この新機能は、セマンティック検索の進化とあわせて、ユーザーがより少ない手間で欲しいものに出会えるようにする検索環境の整備を意味しています。EC体験の質を大きく押し上げる革新的な一歩だと言えるでしょう。」
個々のニーズに応える検索の進化は、ECの利便性をさらに高め、今後のオンラインショッピング体験を大きく変える可能性を秘めています。
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