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ポイント経済圏の知られざる主戦場 ~ データは小売業の未来をどう変えるのか? ~




キャッシュレス化が進む現代、ポイントは単なる「お得」なサービスから私たちの経済活動の一部へと進化しています。クレジットカードやQRコード決済、電子マネーなどに付随する様々なポイントプログラムが乱立し、ユーザーは日常的にポイントを貯めて使う習慣を身につけています。

今や消費者が積極的にポイントを集めてお得な消費を目指す「ポイ活」という言葉も一般化しており、特に楽天ポイントを中心にポイ活を楽しむユーザーは多い印象です。一方で企業側にとってポイントは、顧客へのサービスであると同時に貴重なデータ資産となりつつあります。

本記事では、そうした「ポイント経済圏」の最新動向と、小売業にもたらすデータ活用のインパクトについて解説します。

普段、コンビニやドラッグストアのレジで当たり前のように提示しているポイントカード。そのバーコードを店員がスキャンすると、購入した商品一つひとつのデータが加盟店側のPOSレジからポイント事業者へと送信され、各社が保有する膨大なビッグデータに統合されます。

実はこの仕組みこそが、日本の小売業に静かな革命を起こしているのです。ポイントカード提示で得られる「購買データ」こそが、実質的にポイント付与の対価であり、ユーザーはポイントをもらう代わりに自らの購買情報を提供しているとも言えます。

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知られざるポイントカードの「対価」—データがもたらす価値

こうした購買データは、全国各地のポイントカード加盟店で日々リアルタイムに収集されています。楽天ポイント、Vポイント、Ponta、dポイントという4大ポイント経済圏が繰り広げるビジネスの本質は、単に顧客を囲い込むことではありません。消費者の購買行動を詳細に分析し、マーケティングの精度を高めるデータビジネスへと進化している点にあります。

ポイント事業者は各社ごとにユーザーデータ活用の戦略を練っています。例えば、共通ポイント先駆者のTポイントはかつて「1業種1社」の排他契約を採用し、同じ業種で競合他社が複数の共通ポイントを導入することを認めていませんでした。

Pontaも同様に排他契約を結んでおり、ある店舗がTポイントを導入している場合はPontaを導入できないという状況でした。楽天はその隙間を突き、Tポイントに加盟しなかった企業や柔軟なデータ活用を求める企業を開拓して2014年10月に実店舗向けの「楽天ポイントカード(当時はRポイントカード)」サービスを開始しました。開始当初の加盟企業は大丸松坂屋、出光興産など約10社と後発組でしたが、オンラインサービスで蓄積した膨大なデータ基盤を強みに急速に存在感を高めました。

現在、共通ポイント市場では楽天ポイント、Vポイント、Ponta、dポイントの4大勢力がしのぎを削っています。それぞれの会員規模は以下の通りです。

ポイント名特徴
楽天ポイント国内ユーザーID数が1億を超える規模。楽天市場をはじめ70以上の多様なサービスで利用される巨大な会員基盤です。
Vポイント2024年4月に旧Tポイントと統合し、合計約1億5,400万IDに達する国内最大級のポイントプログラム。
Ponta会員数は近年も伸び続け、2025年初頭には1億2,000万IDを突破しています。ローソンや各種提携企業で利用可能。
dポイントNTTドコモの契約者基盤を核とし、1億人規模の会員数を誇ります。携帯キャリア系ポイントとして急成長。

データビジネスとしての共通ポイント

楽天がリアル店舗向け共通ポイントサービスに参入した2014年当時、すでに共通ポイント市場はTポイントとPontaが二分していました。前述の通りTポイントは排他戦略を採っていたため、楽天はそこに入らなかった企業を中心に提携を拡大しました。

楽天のもう一つの武器は、オンライン通販楽天市場などで蓄積した顧客データの存在です。

ネット発の楽天は「インターネット経由でコミュニケーションできる顧客数が圧倒的に多い」ことから、従来のリアル発の共通ポイント(TポイントはTSUTAYA会員カード起源、Pontaはローソン起源)とはデータの出発点が異なります。楽天はオンラインとオフライン双方の購買データを統合できる点でユニークな立ち位置にありました。

その後、共通ポイント市場は前述の4大勢力に加え、スマホ決済由来のPayPayポイントなども加わり勢力図が変化しています。2024年にはTポイントとVポイントの統合や、コンビニ大手セブン-イレブンが独自のnanacoポイント強化策を打ち出すなど、各経済圏の競争は激化しています。企業各社がポイント経済圏の覇権をめぐり提携・統合を進めている背景には、ポイントを通じた顧客データの囲い込み合戦があるのです。

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「カスタマーDNA」が描く消費者像—楽天のデータ戦略

楽天ポイントの強みを象徴するのが、楽天が独自に構築した膨大な統合顧客データです。楽天では1億を超える楽天会員IDそれぞれに対し、数千項目にも及ぶ属性データを付与しています。これを社内では「カスタマーDNA」と呼び、70以上に及ぶ自社サービスから収集したユーザーの行動データを統計的に分析して得られた推定属性データの集合体です。

その仕組みは次の通りです。楽天市場での検索履歴・購入履歴、楽天トラベルでの宿泊履歴、楽天ポイント加盟店でのオフライン購買履歴など、楽天IDに紐づくオンライン・オフラインの行動データを一括して収集・解析します。そして例えば「30代女性、既婚で子ども2人、ペットを飼育、世帯年収800万円以上」といった具合に、統計モデルによりユーザーごとの推定属性フラグを数千項目付与していくのです。

この「カスタマーDNA」のデータ群と、各加盟店舗から集まるPOSデータ(商品ごとの販売データ)を掛け合わせることで、店舗ごとの顧客特性や購買傾向が浮かび上がります。例えば「シニア層が多い店舗では一人暮らし用の少量パック商品や魚がよく売れ、ファミリー層が多い地域では肉類中心の大容量パックが動く」といったことがデータから明確に把握できるのです。

なお、プライバシーへの不安に配慮し、楽天では金融関連の機微情報や詳細な住所データなどはマーケティング分析には用いていません。あくまで統計的にセグメント化した属性データと購買履歴を突き合わせ、個人を特定せずに傾向を導き出す工夫がなされています。

データで変わるマーケティング効果—精度は2~4倍に向上

データ活用がもたらすマーケティング効果は、従来の手法と比べて驚異的な向上を示しています。「全員に一律のクーポンを配る場合と、狙いを絞って配信する場合では効果が2~4倍違う」と楽天ペイメントの担当者は語ります。ここで言う効果とは、単なる来店数ではなく純増売上(真水の売上)の差です。

最近の成功事例の一つに、あるドラッグストアチェーンでの取り組みがあります。顧客ごとの購買履歴データを分析し、ニーズに合わせてクーポン内容を変えて配信したところ、クーポン受取後に実際に来店して購入につながる率が大幅に上昇しました。

マーケティング精度を支えるのは、分析から施策配信、効果測定まで一気通貫のデータ活用システムです。楽天では自社の広告配信基盤とポイントデータベースが統合されており、オンライン広告を見たユーザーが実店舗に来店し、何を購入したかまで追跡できます。

さらに楽天が活用しているのが、ユーザー参加型の購買データ収集施策「楽天Pasha」です。消費者が買い物後のレシートを撮影・投稿すると楽天ポイントがもらえるサービスで、加盟店以外の店舗での購買データも収集できます。これにより競合店の売れ筋や価格戦略まで把握でき、品揃えや価格の見直しに活用されています。

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AIが変える小売業の未来—出店戦略の最適化

ポイントによる購買データ活用は、マーケティングだけでなく小売業の経営判断にも新たな武器を提供しつつあります。その代表例が、楽天が開発を進めている「出店計画最適化」サービスです。小売チェーンにとって新規出店は将来の成長を左右する重要な投資ですが、立地選定や売上予測には不確実性が伴います。

楽天は過去の膨大な出店実績データと周辺環境データをAIに学習させ、より精緻に売上予測を行うモデルを開発しました。商圏の人口構成、競合店舗の配置状況、交通アクセス、地域住民の消費嗜好といった複数の変数を統合的に考慮することで予測精度を高めています。実証段階では誤差を従来の37.7%から7%まで大幅に低減しました。

この技術は特にドラッグストアやスーパーマーケットなど標準化された業態に効果的で、今後の商用化によって小売業界の出店戦略を大きく変える可能性を秘めています。

データ活用型ビジネスの進化と展望

データを制する者がビジネスを制する——ポイント経済圏の戦いは顧客データの争奪戦でもあります。楽天ペイメントでは営業組織だけで約350~400名体制で全国の加盟企業5,000社以上を支援しており、最大の課題は「データ人材の育成」です。データを分析するだけでなく、そこから洞察を引き出し、顧客のマーケティング施策に活かす提案までできる人材が求められています。

楽天の共通ポイント事業参入から約10年。市場は新たな競争フェーズに突入しています。ファミリーマートのように複数の共通ポイントを併用する企業や、自社独自ポイントと共通ポイントを組み合わせて運用する企業も増えています。プライバシーへの配慮も一層重要となり、企業はデータ活用の透明性を高め、消費者の理解と信頼を得る努力が欠かせません。

便利さと引き換えに提供している個人データ。その活用がより良い買い物体験や効率的な小売業の運営につながるなら、社会全体にとって有益です。重要なのは企業と消費者の信頼関係であり、双方が納得できる形でデータ活用を進めること。共通ポイントの未来はこの信頼関係の上に成り立つと言えるでしょう。

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