記事のポイント
- 楽天グループは2024年度、AI戦略の実行で売上収益を10.0%増の2兆2792億円とした。
- 楽天モバイルの成長でユーザーデータが増え、AI活用による広告配信の精度が向上している。
- 楽天の4つのAIプロダクトが広告事業を牽引し、広告事業売上は7.0%増の2221億円となった。
2024年度の通期連結売上収益を2桁成長させ、過去最高の2兆2792億円(前年同期比10.0%増)とした楽天グループ。この成長を支えたのは、昨年から実行フェーズに入ったAI戦略だ。広告領域についても、その影響を強く受けている。
この流れを受けて、楽天グループは2月26日、東京・目黒区のウエスティンホテル東京で「Rakuten Ad & Marketing DAY 2025―未来を創るAIとデータの力」を開催。楽天のマーケティングソリューションを活用している顧客に向けて、同グループの広告・マーケティングビジネス戦略や今後の展望を共有した。

イベントステージに登壇した同社執行役員の石角裕一氏はまず、楽天モバイルの契約者が増加していることに言及し、「モバイルの契約者が増えるということは、データの量と種類が増えること。データ活用という観点では、楽天モバイル自体が広告媒体となりうる」と述べた。
楽天モバイルの急成長は、同社の広告事業におけるデータ活用を加速させている。楽天モバイルによる多様なユーザーデータの獲得は、より精緻な広告配信を可能にするだろう。
石角氏は「オンラインの購買データはもちろん、たとえば位置情報など、オフラインのデータも(同意によって)蓄積されていく」と述べ、「データをふんだんに活用しながら、それをAIで最適化し、楽天グループのメディア横断で配信していく」と強調した。重要なのは、蓄積されるデータをAIでどのように最適化するかだ。
AIマーケティングソリューションはすでに成果が出ている
楽天グループはAI戦略を強化しており、2024年2月14日の通期決算説明会において、代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏がAIを活用した効率性改善プロジェクト「トリプル20」について説明しました。
このプロジェクトでは、以下の3つの領域において、それぞれ20%の効率向上を目指しています。
- マーケティング効率
- オペレーション効率
- クライアント効率
すでに2024年度は、「トリプル20」プロジェクトの推進により、105億円の利益を創出したと発表されています。
AIを活用した広告領域の具体例
広告領域におけるAI活用について、石角氏によると、以下の4つのプロダクトにおいて成果が出ているとのことです。
- 未来購買予想:AIが購買意欲の高いユーザーを予測する
- Rakuten SQREEM:探索型AIで広告パフォーマンスを最大化する
- 楽楽プロファイル:AIがターゲットプロフィールを可視化する
- AIチャットインタビュー:AIによるインタビューで効率的に回答を収集する
具体的な成果
特に「Rakuten SQREEM」では、CPAや新規ユーザー獲得の改善率が50%に達したケースもあるとのことです。また、「楽楽プロファイル」では「作成したプロファイルがお得意様の顧客の特徴としっかりマッチしていた」との評価を受けています。「AIチャットインタビュー」についても、「時間のかかる調査がクイックに可能になった」との声が多く寄せられています。
広告事業の成長
2024年通期の広告事業の売上は2221億円(前年同期比7.0%増)に達しました。今後も、AIを核とした広告戦略の進化により、楽天グループの広告事業は力強い成長を遂げていくと予測されています。
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