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セクシー女優炎上で再考する「広告に人を起用する理由」─ 企業は何を伝えるべきか?


先日、「AV女優にドレスを貸すと知っていたら契約しなかった」というあるユーザーの一言がX(旧Twitter)上で大きな議論を呼びました。

元セクシー女優・三上悠亜さんがブライダル撮影専門店オリジナルのウェディングドレスを着てイベント出演し、その写真をSNSに投稿したところ、同じドレスを後日着用予定だったユーザーが「最悪。もしセクシー女優に貸すと知っていたら契約しなかった」と趣旨の投稿を行ったのです。

この投稿に注目が集まり、ネット上では「職業差別だ」「ブランド管理が甘い」など様々な意見が飛び交いました。しかし、この騒動は単なるタレントへの偏見や職業差別の問題に留まりません。

企業のブランディング戦略、広告で「誰を起用するか」という意思決定の本質を考える上で、非常に示唆に富む事例だと言えます。以下では、近年の広告事例をもとにブランド価値を高めるタレント選びのポイントを深掘りしていきましょう。

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炎上タレント起用で業績アップした企業も存在する

一般的に企業のCMモデルやブランドアンバサダーには
  • 高感度が高い
  • 人気がある
  • スキャンダルがない

タレントが選ばれるものです。

実際、大物俳優が不倫騒動を起こしスポンサー契約の解除が相次いだケースも最近ありました。

タレントのイメージ失墜は企業にとって株価下落や売上減少につながり、損失は数百億円規模になることもあるため、契約解除や広告差し替えは一見合理的な判断です。スポンサー側が「ブランド価値をこれ以上毀損できない」として手を引くのも当然の流れでしょう。しかし、一方で“炎上”したタレントをあえて起用し、話題性をプラスに転じて成功した企業も存在します。

代表的なのが老眼鏡「ハズキルーペ」を展開するHazuki Companyです。2017年に不倫スキャンダル報道で世間の批判を浴びたハリウッド俳優・渡辺謙さんを、同社は翌年のテレビCMに起用しました。

他社がイメージ悪化を恐れて契約を打ち切る中でHazuki Companyの松村謙三会長はあえて彼をCMキャラクターに抜擢し、渡辺さんの迫真の絶叫「文字が小さすぎて読めない!」という演技が大きな話題を呼んだのです。

この大胆な賭けは見事に“勝利”しました。松村会長の強いリーダーシップのもと、高額なギャラ(週刊文春の取材によれば約2億円)を払ってでも炎上タレントを起用した結果、CM好感度ランキングで上位に入り、認知度は飛躍的に向上して売上増にもつながったとされています。Hazuki Companyは非上場企業で株主への説明責任が比較的緩やかなこともあり、「リスクは自分が取る」というトップの決断で実現した戦略でした。

世間から一部嫌悪反応は出たものの、同CMは60代以上の高齢者層を中心に一定の支持を獲得し、結果的に炎上リスクを上回る宣伝効果を生んだのです。

この事例から学べるポイントは「炎上リスクよりもブランドにもたらす価値が上回るか」を見極めることです。具体的にはタレント本人の実力や信頼性と商材の機能性・実用性が一致しているかどうかが鍵となります。

渡辺謙さんはスキャンダルはあれど国際的に評価された実力派俳優です。一方、ハズキルーペは「文字を大きく鮮明に見る」という極めて機能的な製品で、製品そのものの信頼性が重視されるカテゴリーでした。

実力派俳優×実用性の高い商材という組み合わせにより、タレントと商品に「信頼性」という共通軸が生まれ、炎上リスクを上回る説得力が生まれたと考えられます。逆に言えば、商品のブランドイメージがタレントの印象に直結しやすい場合(例:飲料やファッションなどイメージ重視の商材)には、スキャンダル芸能人の起用はハイリスクです。

イメージ先行型ブランドでは炎上タレントは切り捨てた方が合理的でしょう。重要なのは、自社の商品特性とターゲット層に照らし、「炎上を恐れて逃すには惜しい価値」をその人物が持っているかを見極めることです。

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逆性別のタレント起用は「モテ」より“誰からも選ばれる信頼”へ

近年、女性向け商品の広告に男性タレント、男性向け商品の広告に女性タレントを起用するケースが増えています。たとえば2023年には米大リーグで活躍する大谷翔平選手が、日本の高級スキンケアブランド「コスメデコルテ」の美容液広告モデルに起用されて話題になりました。一昔前なら「女性向けコスメに男性?なぜ?」と不思議に思われたかもしれません。しかしこの逆性別キャスティングには、現代ならではの本質的な狙いがあります。

かつて広告業界では「この商品を使えば異性にモテる」「憧れの異性に近づける」という構図が王道でした。男性向け香水のCMに美女を登場させたり、女性向けシャンプーの広告にイケメン俳優を起用したりと、異性を意識させる演出で購買意欲を刺激していたのです。しかし現代の逆性別起用の目的は、もはや異性にモテることではありません。企業が目指しているのは「誰からも信頼され、支持される価値観」を商品にまとわせることです。

前述のコスメデコルテも大谷選手が持つ「誠実さ」「挑戦を続ける姿勢」「揺るぎない信念」といった人間性に着目し、ブランドの掲げる“誇りある美”という価値観と重ね合わせて起用しています。単に「人気だから」「女性ファンが多いから」という理由ではなく、性別を超えて広く尊敬・共感される人柄がブランドイメージに信頼感を与えているのです。

この背景には広告やブランディングにおける価値訴求のシフトがあります。商品そのものの魅力で売る時代から、著名人の影響力で売る時代を経て、今は「その商品を使う自分はどんな人間でありたいか」というアイデンティティに訴える時代へと移行しています。

たとえばアウトドアブランドのパタゴニアは「地球を救うためビジネスを営む」というミッションを掲げ、環境保護のアイデンティティに共鳴する人々が支持しています。同様に、コスメデコルテが大谷選手を起用したのは、彼が性別問わず世界中で尊敬される存在であり、「誰が見ても納得できる価値観を体現する人物が選ぶ商品」という文脈を作りたかったからでしょう。

実際、DoveやGilletteなど海外大手も、人種・年齢・体型・性別を問わないインクルーシブな広告キャンペーンを展開して支持を集めています。多様なモデル起用は「潜在顧客を逃さない」合理的戦略であり、企業の社会的価値観の表明でもあります。ジェンダーにとらわれず価値観でつながる広告へと進化している今、「女性だからこの商品」「男性だからこのブランド」という固定観念はもはや時代遅れと言えるでしょう。

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それでもAIではなく「人間」をタレントに起用する理由

近年は画像生成AIやバーチャルインフルエンサーも登場し、「リスクのある生身の芸能人を使わずAIモデルで良いのでは?」という声も聞こえてきます。確かにAIキャラクターなら不祥事の心配もなく、契約料も不要です。しかし多くの企業は今なお実在の人間タレントを広告に起用しています。その理由は何でしょうか。

結論から言えば、人間ならではの「人生」と「物語」を広告メッセージに宿すことができるからです。優秀なAIがどんなに完璧な美男美女を生成できても、その存在には過去の経験も信念もありません。広告は単に商品のスペックを伝えるだけでなく、その商品が属する価値観の文脈を語るものです。そしてその文脈に説得力を与えるのは、長年積み重ねてきた人格や実績を持つ人間だからこそなのです。

たとえば「このコスメを使えば魅力的になれる」というコピーは、それを体現するように生きてきた人物が出るから心に響きますし、「この車は信頼できる相棒だ」というメッセージは、信頼に足る生き方をしてきた人物がハンドルを握るからリアリティが生まれます。

要するにCMに誰を起用するかとは「どんな人がこの商品を愛用していたらその商品の価値観が一番伝わるか」という問いに他なりません。マーケターや広告制作者の腕の見せ所は、商品の訴求したい価値観とタレント本人の価値観の交差点を見出すことです。

たとえばサステナビリティを売りにした商品なら一時的な話題よりも長年一貫して環境配慮を実践してきた人物を選ぶでしょう。自己肯定感やセルフラブがテーマの商品なら、その重要性を発信し続けてきた人物が適任かもしれません。クリエイティブな挑戦を重視するBtoB商材なら、常に新しい表現に挑んできたアーティストがふさわしいでしょう。

このように人間性というレイヤーを広告に持ち込むことで広告は単なる情報伝達ではなく、信頼と共感を伝播させる装置へと進化するのです。

無論、人間タレントにはスキャンダルなどリスクも伴います。それでも長期的視野で見れば、その人のストーリーごとブランドに取り込む覚悟が企業には求められます。実際、ゴルフの英雄タイガー・ウッズ選手が2009年に不倫スキャンダルで世間の糾弾を浴びた際、スポンサー各社が契約解除に踏み切る中でNIKE社だけは彼との契約を維持しました。NIKEの共同創業者フィル・ナイト氏は「彼のキャリアが終わる頃には、今回の不貞騒動も小さな出来事だと思うだろう」とまで公言し、ウッズ選手の“物語”を短期の不祥事で手放さなかったのです。

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企業が学ぶべき「誰を起用するか」よりも重要な問い

最後に、今回の「セクシー女優ドレス炎上」から企業への示唆を改めて整理します。自社ブランドの世界観や価値観と起用するタレントの人格・背景が合致しているかを見極めることが何より重要です。

話題性やフォロワー数だけで安易に選んだタレント起用は、思わぬ形でブランド価値を棄損しかねません。一方で、その人物の起用によってユーザーが憧れるストーリーや価値観を提供できるなら、多少のリスクを取ってでも起用する価値があります。

炎上に学び、ブランド価値を高めるタレント選びの本質──それは「誰を起用するか」ではなく「何の価値観を届けたいか」に他なりません。企業にとっても消費者にとっても納得感のあるキャスティングを行い、信頼と共感に満ちたブランド体験を創出していきましょう。

 

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