最近、ChatGPT（チャットGPT、Chat GPT）などの「生成AI」が子どもの学びや遊びにも大きな影響を及ぼしています。これらのAIは、作文や調べ学習を助けてくれる一方で、使い方を誤るとリスクも伴います。今や子どもたちの世代に広がりつつある生成AIの基本を、保護者である私たちもしっかり理解しておきましょう。
いまさら聞けない「生成AI」の基本
チャットGPTとは？
実は、ChatGPTに「チャットGPTってなに？」と10歳の子どもにも分かるように説明を頼むと、こんな答えが返ってきます。
「チャットGPTは、人とおしゃべりができるコンピューターの頭脳だよ。たとえば、質問に答えたり、お話を作ったり、わからないことを教えてくれるんだ。たくさんの本や会話を学んでいるから、人と話しているみたいにやりとりができるんだよ。コンピューターのおしゃべり先生みたいな存在だね。」
ちなみに、上の説明文はChatGPTに「チャットGPTとは何かを10歳の子ども向けに150字程度で説明して」とプロンプトを出し、生成してもらったものです。
人間と言葉でやりとりできるAIシステムのことを一般に「チャットボット」と呼びます。2020年代に入ると、ChatGPT（チャットGPT）のようにまるで人間が書いたかのような自然な文章で質問に答えるAIが登場し、大きな話題となりました。また、文章で指示を出すだけでイラストや画像を作り出せる「画像生成AI」も次々と開発され、注目を集めています。
チャットGPTは生成AIの一つ
生成AI（Generative AI）とは、人間の指示に従って文章・画像・音楽・動画など様々なコンテンツを作り出してくれるAIの総称です。チャットGPTもその代表的な生成AIの一つと言えます。
文章の生成を得意とするAIには、ChatGPTのほかにもAnthropic社のClaudeや、Googleが開発中のGeminiなどが存在します。一方、画像の生成に特化したAIには、OpenAI社のDALL-E（ダル・イー）やStable Diffusionなどが挙げられます。このように生成AIにもそれぞれ得意分野があり、実にさまざまな種類があるのです。
では、生成AIを使って具体的にどんなことができるのでしょうか。その一例をご紹介します。
文章や絵、動画、音声をつくる:
テキストで詳しく指示を出すだけで、さまざまなタイプのイラストや写真を自動生成できます。アニメ風の短い動画や、人の声をまねた歌声など、音声コンテンツまで作成可能です。
データを分析する:
グラフや表のデータを読み込ませると、そこから読み取れる情報や数字の意味を分かりやすく説明してくれます。そのため、自由研究など調べ学習の資料作りにも大活躍です。
翻訳・英会話:
日本語から英語など外国語への翻訳はもちろん、音声入力や読み上げ機能を使えば、AIと英会話の練習をすることもできます。
アイデアを考える:
自由研究のテーマ、おもしろいゲームのストーリー、お祭りの出し物の企画なども、AIに相談すれば発想をどんどん膨らませることができます。
相談相手になる:
家族とケンカをした、テストの成績が下がって落ち込んでいる…そんなときでも、どんな悩みに対しても24時間いつでも答えてくれる心強い相談相手になってくれます。
AIに「役割」を与えると回答の質が向上する
生成AIに投げかける質問や指示文のことを「プロンプト」と呼びます。プロンプトの工夫次第で、AIから得られる回答の内容は大きく変わります。
たとえば、単に「イルカという動物について教えてください。」と聞くのと、「あなたは水族館のスタッフです。イルカという動物について教えてください。」とAIに特定の役割を与えて質問するのとでは、返ってくる答えの内容がまったく違ってきます。
このように、生成AIはこちらが指定したどんなキャラクターになりきることも可能です。「関西弁で答えて」「マンガの主人公になったつもりで答えて」といったお願いをすれば、AIはそのキャラクターにふさわしい口調や文体で回答してくれます。
AI活用で気をつけたいこと
チャットGPTのような生成AIは、ときどき事実と異なる内容を、あたかも本当のことのように答えてしまうことがあります。この現象は「ハルシネーション（幻覚）」と呼ばれています。ハルシネーションは、AIがその話題に関する十分なデータを学習していない場合に起こる現象です。
さらに、学習に用いたデータに偏りがあると、AIの回答に性別・国籍・文化などに関する偏見や差別的な内容が含まれてしまう可能性も指摘されています。そのため、AIの答えをそのまま鵜呑みにせず、「本当かな？」と感じたら実際に自分で調べ直して確認することが大切です。
生成AIで宿題をしてもいいの？
子どもの中には「作文が苦手だから、代わりにAIに書いてもらおう」と考えるケースもあるかもしれません。しかし、AIが生成した文章を自分の宿題として提出するのはルール違反です。現在では「その文章がAIによるものか」を判定できるツール（いわゆるAI検出AI）も開発されており、AI任せで書いたレポートは分析すれば見抜かれてしまうでしょう。
一方で、AIを上手に活用して作文の構成のヒントをもらったり、調べ学習のコツを教えてもらったりすることは、場合によっては認められるかもしれません。これからは「AIに何を尋ね、どんな情報を引き出すか」ということ自体が、宿題の一部になっていくでしょう。
以上、子ども世代にも広がる生成AI（チャットGPT）の基本と注意点を紹介しました。便利なツールではありますが、正しく理解して上手に活用できるよう、親子で一緒に学んでいきたいですね。
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